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ベトナムの受注と美浜、敦賀の長期運転
Date:2010-11-05(Fri)

昨日、「運転開始から40年がたつ関西電力の美浜原子力発電所1号機について、県は、今後10年間、運転を続けることを認める方針を固めました」と。国内では、原電の敦賀1号機が、平成28年までの46年間運転を続け
ることになっているが、美浜1号機が50年間運転を継続すれば、最も長くなる。

敦賀1号機は、日本初の沸騰水型原子炉、美浜1号機は日本初の加圧水型原子炉。いずれもGE社、WH社と米国の技術を受け入れ、安全性向上、廃棄物処理、耐震性向上など、日本の技術的風土になじますか、改良、改善の連続だった。それが今日の日本の原子力技術、ベトナムの受注とつながっていることは言うまでもない。

私は、敦賀1号機の運転開始5年目の昭和51年から保守の仕事に従事した。改良、改善にはまず、設計思想の確認、建設の記録などを読むことからはじめる。ある時、各電力から集まった技術者と米国技術者のメモを読む機会があった。それも、両者がペンで図を入れて、日本語と英語で克明に書いている。黎明期の息吹ともいうべきものが伝わってきたことを覚えている。

敦賀1号機からは、その経験や技術を、北は北海道電力、南は九州電力へ、持ち帰り、建設、運転と働き、現役を引退した先輩も多い。日立、東芝、三菱の原子力を支える技術者も、美浜、敦賀での経験が、その後の改良型ともいえる設計に生かされていることは、言うまでもない。

ところで、ベトナムの原子力発電所2基の受注は画期的なニュースでもある。具体的には、ベトナム南部のニントゥアン省に建設される原子力発電所2基で、2014年の着工、20年の運転開始を目指す。官民一体で受注を働きかけてきた政府の働きも大きいが、一方で、建設、運転などこれまでの実績に基づいた人材育成など地道だが確実な協力を訴える『日本方式』の提案が受け入れられたとも聞く。

まだまだ、紆余曲折もあろうが、地球温暖化問題で、世界の原子力は「脱原子力」から「原子力推進」へと大きく舵を切っていることも現実だ。2020年の原子力発電の市場規模は日本が受注拡大を狙う東南アジアで約9兆円、インドは約17兆円、中東は約12兆円に達する見通しとも言われ、ベトナムの1基数千億円規模とみられ、周辺整備なども受注できれば2基で1兆円規模に達するとも。

ただ、昨年のアラブ首長国連邦(UAE)やベトナム第1期工事の原発受注では、武器輸出など含んだ交渉で韓国、ロシアに敗れた。繰り返しになるが、日本は今回、原発に関する技術や実績、人材育成などを売り込んで評価を得た。

美浜、敦賀の原子力発電所の建設、運転が、今回のベトナム受注の礎ともなっていることは確かだ。30年ほど前か、その前身とも言える、三菱重工が、原子炉容器を中国から受注した時、三菱神戸で学ぶ中国人技術者と10数名とたまたま出会ったことがある。当時、三菱の担当者は「中国は最優秀の技術者を送り込み、その貪欲さは目をみはる」と語っていた。その後の経過をたどれば、見事に技術を盗まれたとも言える。

今後、平成24年度に敦賀で始まる「福井大学付属国際原子力工学研究所」との関係は未知数だが、敦賀1号機、美浜1号機からもんじゅ建設、敦賀3,4号建設と、この地域の原子力発電が果たす意義は発電だけに限らず、人材育成という面でこれまでも、これからも大きな役割を果たす、そのことを考えての地道な地域戦略も大事とも思う・・・。
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