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平和利用の厳しさ
Date:2011-01-23(Sun)

一昨日、関西電力の高浜原子力発電所3号機は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを原子力発電所で燃やすプルサーマルによる営業運転を始めた。

電力会社にとっては、営業運転は一つの節目。発電をしながら、機器に異常がないか確認する試験的な運転、調整運転を続け、国の原子力安全・保安院による核燃料の検査が終わり、検査に合格したことを示す書類が手渡される。原子力発電所は何事につけての地味だが、安全第一に試験の繰り返しで積み重ねながら営業運転を迎える。

プルサーマルは、県議会でも何度も議論を繰り返し、途中、英国での燃料製造の不正問題があり、頓挫する期間が長かった。それほど慎重なのが原子力発電所の鉄則でもある。プルサーマルによる営業運転は、東海・北陸地方や初めてだ。陰に隠れてとは、言わないが監視業務で、国際原子力機関の査察官が何度となく、原子力発電所を訪れる。核物質の監視のためだ。

同じ英国とは言わないが、無知と想像力の欠如くらい人を傷つけるものはないだろう。英BBCテレビのクイズ番組が、広島と長崎で二重に被爆し、昨年93歳で亡くなった山口彊さんを「世界一運が悪い男」などと笑いの種にしていた。と報じられた。

新聞報道によると、スタジオにはきのこ雲や山口さんの顔写真が掲げられ、司会者やゲストのジョークに笑い声が上がったという。在英邦人からの抗議に対し、番組プロデューサーは謝罪したようだが、何とも腹立たしい話だ。

造船所の技師だった山口さんは出張先の広島で被爆し、大やけどを負った。高熱でうなされながら列車で長崎に戻り、会社で広島の惨状を報告している最中に再び被爆した。

山口さんのような二重被爆者は少なくとも160人はいたとみられる。結婚したばかりの夫を広島で失い、長崎の実家に戻って父と姉を失った女性もいたとも。

英BBCの番組は山口さんに限らず、そうしたすべての被爆者を侮辱したことになる。核保有国・英国のおごりと言われても仕方がないだろう。

私は、1995年頃か、英国の北部、原子力施設の多くがあったセラフィールドを訪れたことがある。核兵器を造る軍需工場と原子力発電所、再処理工場を混在する地域だった。「自主、民主、公開」と平和利用と基本とする日本とは全く違った光景だった。原子力に関する核兵器保有国と持たない国の違いをまのあたりにした。最近ではセラフィールドにある原子力施設の大半は老朽化のため閉鎖されていると聞く。

青森の六ケ所村には国際原子力機関の査察官が常駐するくらい厳しく監視され、各地の原子力発電所も核物質に関して厳しい監視のもとに運転している。

ニューヨークの国連本部などで核廃絶を涙ながらに訴えた山口さん。その姿を追ったドキュメンタリー映画「二重被爆~語り部・山口彊の遺言」が、今夏から全国公開される。英BBCも放映すべきだ。
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