FC2ブログ
正確な調査と正しい情報提供が、今後の政府や東電の大きな仕事となる。
Date:2011-03-23(Wed)

福島第一発電所周辺30キロにあたる広野町に行った方から事情を聞くことができた。電気は通じたものの水道が遮断され、周辺30キロ圏内でもあり、人の気配がないとか。一方で、お隣のいわき市では農作業に励む方もいたとか。非常時とはいえ、このギャップが印象に残ったとか。

広野町は東京電力の広野火力発電所1~5号機があり、燃料の貯蔵施設が津波で壊されたものの、なんとか計画停電を軽減しようと運転している。昔は農村だけではなく宿場町として栄えた。冬でも雪が少なく温暖な気候でJビィレッジの開設後、小規模ながら浜通りの屈指の観光地でもある。キャッチフレーズは「東北の春を告げる町」だ。

早朝のニュースによると、福島第一原子力発電所3号機の中央制御室の電源が回復し照明がともった。原子炉をコントールする中枢機能に電気が届いたのは地震後始めてだ。中央制御室は、原子炉、使用済み燃料プールなど様々な計器が集まっていて、機器が正常であれば電気が通じたことで正確に状況を把握し、冷却することができる。
中央制御室の電気で空調が復活すれば、高性能フィルタ(HAPAフィルタ)があり、外の放射能レベルが高くても、運転員が長期滞在して発電所全体をコントールすることができる。まだまだ予断は許さないが、事故対策としては大きな山場をこえたのかもしれない。

本来の事故対策とは裏腹に、周辺各地で、放射性のセシウム137やヨウ素131が検出され、海水でも検出された。深さ5センチの土壌からも検出されている。

放射性物質は、ごく微量でも正確に正直に状況を伝える。微量だが、チェルノブイリ事故の後、気流に乗り、数日後、日本でも検出されている。

見えない放射能。水道の水から1キロ当たり965ベクレルの放射性ヨウ素が検出された村もある。基準の3倍超、なかには数十倍と聞けば誰しも引く。一方、放射能泉として昔から親しまれてきたある温泉のラドン濃度は9361ベクレル。単純な比較はできないにしても、一つの目安にはなる。

私が心配するのは、チェルノブイリ事故で、直接の被ばくした影響以上に住民の健康を脅かしたのが不安やストレスだった。半径80キロ圏内に住む自国民に避難を勧告する動きが米英など各国で相次ぎ、「東京湾は放射能に汚染されている」などと、寄港を拒否する外国船も後を絶たない。海外だけではなく、ガソリンや食料など救援物資を運ぶ業者が運転手の健康被害を恐れ、被災地への輸送を断るケースがあったという。

正確な調査と正しい情報提供が、今後の政府や東電の大きな仕事となる。なかでもホウレンソウなど野菜の出荷停止は、当然としても、敏感に反応するのは消費者だ。一つひとつの数字を見てパニックに陥るのは禁物だ。だが、風評被害など甘くみるのはもっといけない。政府は急いで詳しいデータを集め、打つべき手を考えて適切な判断を下さなくてはならない。

いったん環境に放たれた放射性物質は、広範囲に及び、ごく微量でも種類によっては、土壌に残って放射線を出し続ける。セシウム137ならば半減期は約30年だ。海中でも貝類などの蓄積など長期の調査は必要になる。

いま最も重要なのは、事故炉から大量の放射性物質が出ることを食い止めることだが、その先には、環境と健康の被害はもちろん、風評被害や精神的なストレスなど最小にするための長い闘いが待っていることは確かだ。

余談だが、今回のNHK事故報道の解説で科学文化部の山崎俊行さんが正確に状況をわかりやすく説明する。敦賀に駐在し、原子力発電所には当然、詳しい。今回の事故で何度も説明を聞くが、安心して聞くことができる。数年前に越の湯でお会いした時は、サッカーの試合の後だとか、スポーツマンでもある。昨年も、駅前商店街の飲食店でもお会いしたばかりだ。現場の情報を入手している。

もちろん、その前に正確な情報を提供する政府や東電の調査が重要となる。暗闇というだけで疑い鬼がいるように見えるさまを「疑心暗鬼」という中国の故事がある。まさに、そのたとえだが、これからもっとも注意すべきことだ。
スポンサーサイト



【2011/03/23】 | ページトップ↑
| ひとことトップ |