FC2ブログ
建設的な次への原子力の警鐘を
Date:2011-06-08(Wed)

昨日の昼、市役所5階の全員協議会室は暑かった。3時間に及ぶ説明と質疑が続いた。経済産業省原子力安全・保安院と原電、関電、機構による事業者との敦賀市議会への説明会。東日本大震災に伴う福島の事故経緯や、各社の緊急安全対策の実施状況と評価などを説明。

各事業者の説明に続いて、保安院の石垣統括安全審査官の説明。福島第1、2原発と女川、東海第2の津波の状況など被害状況を丁寧に話し、緊急安全対策への評価を示したうえで「原子炉の運転継続や運転再開に安全上の支障はない」と結論づけた。

これに対して議員からは「日本海側でどのような津波が起きるかを想定した議論がなされていない」など、さらなる検証や安全対策を求める声が根強くあった。定期検査中など発電所運転については、保安院と国の基準が定かでないとする福井県知事との見解の相違など、課題が残っている。

また、議員の関心でもある「地震発生から津波到来までは原子炉周辺の主要配管や機器の破損は、100%とはいえないまでも、データを見る限りなかった」と、さらに、「古い原発と新しい原発はどちらが安全なのか」との質問に、保安院は「高経年化の影響についてのデータは、今のところない」と答えるなど、意見や質疑が相次いだ。

敦賀市議会の説明会をもって、これまでの状況を受けての保安院が地元の自治体や議会への説明会が県内では一巡した。

また、昨日、政府の事故調査・検証委員会の初会合、経産相の記者会見など検証や各電力会社へ対応策などの要請など、福島の事故を受けての新たな動きが始まった。新たな知見や政府の事故調査・検証委員会など、新たな動きがあった段階で説明会が何度か必要だ。それほど福島の事故の現実は、敦賀にとっても、あまりにも大きい。

その政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)は、昨日、初会合を開き、事故原因や従来の原子力行政の問題点などの解明に着手した。

6月に現地調査を行い、年内をめどに中間報告をまとめる。検証の焦点は、〈1〉政府と東電の初動対応〈2〉政府による避難指示など被害の拡大防止策〈3〉これまでの原子力行政のあり方、など検証範囲は広く、深い。初動対応では、事故発生直後に原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」が遅れた理由、特に発生翌日の首相の現地視察が遅れに影響したのかどうかがポイントになる。メルトダウン(炉心溶融)を防げなかったのかも大きなテーマだ。

委員長で畑村氏の名前があがったとき、適任かどうかは別にして、事故の調査・検証委員会委員長には、国民の目から見てもわかりやすい人物と感じた。なにしろ「失敗学」が専門であることだ。

六本木ヒルズ回転ドア事故の検証などの実績がある。それ以前にも原子力産業の体質に潜む問題を指摘。「この世に絶対安全はない。それを標榜する唯一の産業が原子力だ」と、厳しい姿勢をもっている。

報道によると津波にも警鐘を鳴らしていたとか。過去何度も同じ町が破壊され、先人が「これより下に家を建てるな」と石碑に記しても何年かすれば家が建つ現実。「人は必ず失敗する、そしてすぐに忘れる」。だから「失敗から学ぶことが大切」だと。

畑村氏の基本的考えは「組織が、うちは大丈夫と思った時、安全神話は崩壊する」。そして「隠さない、うそをつかない、つじつま合わせをしないことが、次の事故を防ぐ」と、厳しく語っている。

昨日の首相発言「私も被告」とするなど、今回の事故対応で政治家、安全委員会、保安院、東電など、信頼をなくしている。畑村氏の起用は、今後の原子力にとって、戒め的な検証も必要だが、建設的な次へのステップになるように見守りたい。

震災復興とは裏腹に、年内でも、首相退陣、新たな内閣など想定できない動きが続く、それだけに、検証委員会が消えゆく存在にならぬように、また、政治の横車で、畑村氏の持ち味を殺さぬように、あくまでも建設的な次への原子力の新たな警鐘なることを期待したい。
スポンサーサイト



【2011/06/08】 | ページトップ↑
| ひとことトップ |