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原子力発電の再稼動の混迷
Date:2011-12-13(Tue)

ここ1ヶ月ほど、国の求めるストレステスト(耐性評価)についての考えを求められるメールをいただいたので、現時点での私の考えを伝えたい。

昨日、開かれた12月定例県議会の厚生常任委員会では、原発の再稼働をめぐる今後のスケジュールを質問に対し、県の担当者は「再稼働の条件としている暫定的な安全基準について先月、資源エネルギー庁の担当者ができれば来年1月中にとりまとめたいと発言していた」と説明した。

一方、安全環境部の石塚博英部長は「国からどのような形で示されるのかまったく不明であり、安全基準が示されたあとの県の判断時期についても定まっていない」と述べ、まずは国の動向を見守りたいという考えを示した。ここに現在の福井県の見解と不信感があるのが伺える。

現時点で、定期検査で止まっている原子力発電の再稼働を目指し、関西電力をはじめ各電力が、ストレステスト(耐性評価)の結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出し始めた。

ただ、これを再稼働条件に位置付けることが果たして妥当なのか、ストレステストと再稼働を結び付けることについての妥当性が、専門家の間でも、疑問の声が上がっている。

詳しく説明すると、原子力発電は、営業運転開始から13カ月以内に原子炉を止め、定期検査を受ける必要がある。もともと経産省は、福島の事故を受けて電力各社に緊急の安全対策を取らせ、今夏前には再稼働を認める方針だった。

しかし、菅直人前首相が7月にこの方針を撤回し、欧州連合(EU)のストレステスト(耐性評価)を参考にした安全評価を求めることを再稼動の条件に組み入れた。

ストレステストの安全評価は、地震や津波といった想定を超える事象が起きた場合に、原発がどの程度余裕を持っているかを電力各社がコンピューターで計算する。これを保安院、原子力安全委員会、さらには、国際原子力機関(IAEA)の審査した上で、地元の同意が十分に得られたかなど、複雑な手続きを踏まえて、国が再稼働の可否を最終判断することになっている。

これまで、関西電力大飯3、4号機と、四国電力伊方(愛媛県)3号機の安全評価が提出された。「想定を超える地震や津波に遭っても、電源と冷却機能は維持される」というのが結論だ。

今後提出される敦賀2号、敦賀1号の安全評価も同様の内容になる可能性が高い。これまでの緊急安全策で、非常時の電源や水源、浸水防止対策が進んだことについて一定の評価を保安院は説明していた。その矢先の菅前首相のストレスの発言で、各立地地域の現場は、混乱し福井県などの対応となっている。

関電の残る2基も、今後も順次、定期検査に入り、このまま再稼働がなければ来年2月には、停止する。このまま続けば、全国的には5月で全部の原子力発電が停止することとなる。

来夏の電力需要期までに再稼働しなければ、日本は関西を中心に今夏以上の深刻な電力不足に陥る。しかし、だからといって、県民の安全上の不安を残したまま、再稼働を急ぐのも説明がつかなくなっている。

だとすれば、再稼働の審査は、国が暫定的な安全基準を早急に示し、基準にあった原子力発電から順次、再稼動することを、県議会や各市町の議会に丁寧に説明し、地元の理解を得る作業をすることに尽きる。その上での再稼動となる。

その後、保安院を引き継いで来年4月に発足する環境省原子力安全庁が、福島の事故を詳細に調査し、原因を分析し、すべての情報を公開し、分かりやすく現状を国民に示すことではないか。地元の理解を得るためにもその作業は欠かせない。

いずれにしても、菅首相の対応が最大の問題とはいえ、その後の国の原子力行政の先延ばしが、ここまで立地地域や電力需給の混迷を深めた責任は重い。
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