FC2ブログ
後期高齢者医療制度の廃止だけでは・・・。
Date:2008-05-20(Tue)

昨日早朝、福井市で連合福井と民主党県連、社民党県連合、国民新党県支部は、後期高齢者医療制度廃止や格差是正に向け、世論の喚起を訴えた。

これは、これで重要なのだが、現場である地方議員の立場からすると、ただ廃止だけ訴えて、人気取りに終始しては後につけを残すだけだと思っている。高齢者医療の在り方は、社会保障全体にかかわる課題だ。医療制度改革全体の評価、検証をきちんと行い、ひずみは正すべきだろう。政局絡みや国民の人気取りのための安易な対応が許される状況ではない。

それほど国民健康保険制度も含め、相当な負担を市町村は負っている。敦賀市も国民健康保険の保険税を税率を上げてこなかったために、一般会計の持ち出しが年々増加の一途だ。今後の健全な運営を考えるならば、今年度は上げざるを得ない。

いずれにしても、もはや小手先の修正では済まないのではないか。制度の矛盾が噴き出たのが、保険料負担増や医療サービス低下の問題である。新制度では厚生労働省の前宣伝とは裏腹に、低所得者層の中で国民健康保険加入時より保険料負担が増えるケースが出た。

また、一部の自治体が独自に行ってきた保険料の減免措置がなくなったためだ。75歳以上の人間ドックへの助成をやめる自治体も続出した。誰でも必要な時に適切な医療を受けられるという国民皆保険制度は、日本社会の「安心」を支えてきた。低所得者層に対し、より大きな痛みを強いるような仕組みは直ちに是正すべきだ。

厚労省は国保加入時と新制度での保険料負担の増減について、試算をやり直す方針だ。新制度導入の際に行った試算は国保加入者の半数程度しか反映していないからという。保険料の負担額は最も切実な問題だ。いかに拙速なスタートだったかが分かる。新制度の導入に踏み切ったのは、医療費の抑制だけではなく、負担と給付の適正化や自治体ごとの保険料の格差是正という目的もあった。

もうひとつの大きな課題は、診療報酬「終末期相談支援料」を見直しだ。批判が続発してから、制度の詳細を勉強したが、勉強すればするほど、これはおかしい。厚生労働相の諮問機関中央社会保険医療協議会(中医協)で再検討するよう、指示するのも当たり前だ。

診療報酬の改定から2カ月足らずで個別項目が再検討されるのは、異例な事態ではないか。誰が言ったか知らないが、この件だけは、「うば捨て山のようだ」と不満が噴き出るのも理解できる。一定年齢以上に限って終末期医療の方針を書面化すると診療報酬が支払われる相談料の仕組みは、お年寄りの神経を逆なでするものだ。

整理する意味でも書くが、相談支援は、医師が回復の見込みが薄いと判断した患者が対象だ。患者と家族、医師が終末期の治療方針を話し合い、合意内容を書面にした場合、医療機関に2000円が支払われる。自分が望む形で最期を迎えるために、書面でリビングウイル(生前の意思表示)を行いたいというケースを支援するのなら理解できる。だが、それがなぜ75歳以上を対象にした医療制度とセットにされるのか。

民主党県連の勉強会で、ある婦人は「介護を受けているお年寄りは、延命治療など、とても言えない」というもの。そこに付け込むとも言われ、高齢者の終末期医療費が高額だと、お役人の頭で語っても、いざその歳になると、切実なのだ。ましてや家族は杓子定規にはいかないとの当然とも言える。

私の調べる限り、延命治療中止と医師の法的責任はまだ不明確だ。尊厳死についての法制化も進んでいない。それだけ微妙な問題なのだ。後期高齢者医療制度をめぐるどさくさに紛れ込ませて扱うべきではない。終末期をどう迎えるかは、人間の尊厳にかかわる。根本的な議論を深めることが必要だ。高齢者の医療費削減ありきでは本末転倒である。

いずれにしても、この制度は、人気取りだけの廃止だけではすまない、将来の高齢者医療をどうするか、自民党の言い分にも理がある。財源問題や倫理問題もあり、避けては通れない、根が深い問題が多い。民主党も廃止してからのビジョンを示していない。ただ、だめだでは、現場は困る。それほど現場はせっぱつまり始めている。
スポンサーサイト



【2008/05/20】 | ページトップ↑
| ひとことトップ |