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指差呼称の安全文化
Date:2013-09-25(Wed)

昭和50年代、敦賀市議会で公然と頭の上にタオルのせて議場に入る木村という名物議員がいた。国鉄の街、敦賀ならではの機関士出身で社会党に属していた。

昭和56年4月、敦賀1号で全国的大問題になって、私も徹夜をしていた翌朝、ひょっこりと木村議員が発電所の組合室に顔を出した。

当時、発電所で組合の副委員長をしていた私は、てっきりお叱りを受けると思って対応すると「組合員の健康管理は大丈夫か」とねぎらいの言葉から始まった。

木村議員は、機関車の点検仕方から、駅員でよく目にする、指差喚呼(しさかんこしょう)まで、安全に関する、現場の安瀬管理の大事さを切々と語っていた。

この指差呼称とは、危険を予知し、安全を確認して、前方を指さし、「安全よし、出発進行」と声を出す駅員の姿はおなじみだ。

明治の頃、国鉄の機関士から全国の国鉄に広まり、安全確保を第一とする工場や電力会社の発電所でも日常的に行っている。

木村議員曰、視力の衰えに悩む機関士がいた。信号がよく見えない。妙案を思いつく。同じ列車に乗務する助手に信号を何度も確認させた。ある日、いきさつを知らない幹部が乗り合わせ、安全重視の姿勢に感激し、後にルール化したことにはじまるとか。

指と声で、脳や目がその一点に集中し、物事を正しく認識する力や注意力が増す。くどいが、見る、指さす、言葉を発する一連の行為で、安全意識が集中する。

この指差呼称、伝統として百年のときを超えて今も駅員や機関士に受け継がれている。ここまで書いたのも、JR北海道の相次ぐ事故に加え、今度はレール幅の異常を把握しながら、97カ所も補修せずに放置していたこと。さらに170ヶ所もあったとか。異常の情報が補修に生かされなかった。指差呼称の伝統が泣く。

菅官房長官は「組織的な悪質性」とまで記者会見で語った。 もんじゅの点検もれも大きく報道されたが、現場の安全文化が、今、ほんとに問われているように思う。 ちなみに、木村議員が頭にぬれタオルをのせていたのは健康上の理由とか。
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