社会的入院とかかりつけ医的な市立敦賀病院の苦悩
Date:2015-06-06-27(Sat)

介護保険制度が変わって、利用者も事業者も不安を持ち始めている。中小の事業者にとって経営にも大きく影響してくるからだ。

一方で、昨日も書いた2025年の病院ベッド(病床)数について、全国で1割余り減らす必要があるとする報告書を、政府が発表した。福井県は26%、41道府県に削減を求める内容も、いずれ影響を与える。
  
年間40兆円に上る医療費を抑制する狙いだが、地域の実情にそぐわない基準の押しつけのように思う。

過剰な病床は、不必要な入院や長期療養を招き、医療費がかさむ原因になっている。政府は、病棟を介護施設などに転換し、患者には入院医療から在宅医療に移行してもらうことで病床削減を進めたい考えだ。 

敦賀市も核家族化が進み、独居高齢者が増えている。介護型の病床には、医療ニーズがあまり高くない高齢者が長期間入院しているケースも現実は多い。自治体病院である市立敦賀病院は、患者の実態がわかっているだけにずいぶん配慮している。

自宅や地域に介護の担い手がいないためで、「社会的入院」と呼ばれ、介護力の低下を病院が代替しているのが現状だ。かかりつけ医と社会的入院問題を抱える市立敦賀病院の経営はなおさら厳しい。その上、交付金の削減はさらに深刻となる。 

そうした中で、在宅で十分な介護を受けられる体制や仕組みがないまま病床を減らせば、家族の負担が重くなる。環境が整うまでは、削減を進めるべきではない。

25年には、「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となる。慢性的な病気を抱える高齢者が増える。人口減少とはいえ、ピークを過ぎるにも数十年かかる。削減方針に強制力はないが、政府は25年に向けて補助金や診療報酬で転換を誘導し、介護サービスとの連携も進めるとしている。

在宅医療に関わる医師や看護師の確保、介護業界の慢性的な人手不足解消も大きな課題だ。  
各都道府県は、昨年成立した地域医療・介護総合促進法で義務付けられた「地域医療構想」の策定を急いでいるが、削減ありきで進めているように思う。

政府は、介護保険制度の変更もそうだが、医療費抑制ありきではなく、地域の実情に即した医療・介護環境の整備を進めるべきだが、一方で、その変化に対応する準備も必要だ。
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