減災に役立つタイムライン
Date:2016-01-22(Fri)

四国でもたまに雪が積もる。田舎の家は厠(かわや)が母屋と離れていることがある。昔、幼少の頃、雪の夜、寒さと雪のあまり、厠に行くことができず、窓から放尿したことがある。不謹慎な書き出しで申し訳ないが、非常事態に、母から教わっていたから、おおでをふってとは言わないが、安心してことをすませることができた。まったく次元は違うが、非常事態に次の展開を想定しておくと、スムースにことが運ぶ教訓がある。

災害の状況、時間系列に応じて、成果を上げているツールとして「タイムライン」というのがある。高速道路、国道と福井県はこれまで大雪の交通の遮断を、教訓により、関係機関連携により、早め早めの措置をとっている。これもひとつのタイムラインだ。

タイムラインは、2012年に米国を大型ハリケーン「サンディ」が襲った際にニュージャージー州が活用し、成果を示して注目された。台風や豪雨による被害の甚大化などから「災害は新たなステージに入った」とされる中で、大切な生命を守り、被害を最小限に食い止める方策として国土交通省が直轄河川流域での普及に力を入れている。これまでに荒川(東京)など4水系で計画が策定済みだ。

具体的には、台風の上陸時を基準にして数日間さかのぼり、各機関の取り組みを調整して一覧にまとめておくものである。敦賀市議会では、別所議員の質問もあったが、まだ検討段階でもない。

例えば台風の発生から上陸の可能性が出る段階では、国交省が災害対応体制を構築して要員や資機材を配備する。交通関係機関は、早めに運行停止の可能性を周知する。自治体は広域避難者の誘導や受け入れに当たり、台風が上陸する前に住民の避難を終える。接近や上陸という差し迫った状況では、交通関係機関は運行を停止する。さらに、大規模水災害が発生した場合の救助活動や物資輸送の早期展開といった具合だ。

従来の防災対策は「備えの大切さ」を言いながらも、災害の状況や被害の発生に基づいて対応することが多い。各関係機関が別々での対応にもなりがちだ。このため、適切な人員の配置や情報の収集・伝達に支障をきたし、対応の遅れやばらつきが被害を広げている面もある。昨年、9月にボランティアで訪れた茨城県常総市、その水害がこの関係機関の連携や判断ミスが被害を大きくしたと関係者が語っていたのを思い出す。

これに対し、事前の取り組みに重きを置こうというのが「タイムライン」の考えだ。台風が予測可能で時間的余裕もあることを生かし、先を見越した早めの行動を可能にする。取り組みの「いつ」「誰が」「何を」を明確に示すことで対応の漏れがなくなる。連携の強化にもつながろう。

敦賀市の笙の川は市街地の中心部にあり、氾濫すると市立敦賀病院、消防署、敦賀市役所と、都市機能がまひする恐れがある。これまでも各機関が蓄積してきた知識や取り組みを突き合わせ、足りない部分に知恵を絞って地域の実情に沿った効果的な計画づくりを進めているが、よりいっそうの緻密さという観点から、この「タイムライン」という考えで精度を高めることも必要に思う。

2年前の特別警報時でも避難などに関して住民の行動はとかく鈍い。住民の声も反映させながら地域の備えを強めたい。そろそろ検討の時期でもある。
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