ピンピンころりの実践と敦賀市のサポート
Date:2016-03-23(Wed)

「終わった人」という内舘牧子さんの小説、「定年って生前葬だな」で始まる。私も多くの企業戦士をみて、自らも定年を超えると身に詰まされる小説だ。

主人公はエリートコースの大手銀行から子会社に出向させられ、定年を迎えた元エリートサラリーマン。夫婦仲も冷めてしまい、何でもいいから仕事をしたいとベンチャー企業の雇われ社長に就任するも、失敗して倒産。気になる女性ともうまくいかず、あがき続ける主人公。どこにでもありそうで、60才を過ぎたわが身には、思いの外、自らを重ねているから面白い。

ところで、長寿と充実した暮らしは、老境の共通した願い。河瀬前市長の「ピンピンころり」はまさに理想。

高齢化が進行する日本では敦賀市も老後の三つの不安がささやかれる。「健康は大丈夫か」「金の心配はないか」「孤立する懸念はないか」。頭文字から「3K」と呼ぶそうだ。

長寿社会とはいえ、誰しも健康不安は付きまとう。介護への心配も頭をもたげる。長年の“会社人間”がたたり、退職後に地域に溶け込めず孤立感を深める男性も多いという。3Kの中で、最も切実なのは「金の心配」だ。

週刊誌には「ゆとりのある老後を過ごすには1億円が必要」と書かれたりするが、どこに地方都市に敦賀にいるのだろうか。いても。いても一握りだろう。

藤田孝典著「下流老人」を読むと、老後に迫る貧困の陰を思い知らされる。本人や家族の病気による高額な医療費、介護費用の負担。さらに子供の失業など予期せぬ事態が加わると、一気に転落してしまうと指摘する。
「老後破産」なる言葉もある。物騒な響きだが、健やかな老後社会を築くには「3K」から目を背けるわけにはいかない。それでも生活保護者、自己破産をした高齢者、元気で慎ましく生きている過多もいる。冒頭の定年もそうだが、力の衰え、健康の衰え、お金もなくなる、それでも品格を失うことなく、ピンピンころりを実践するよう、一人ひとりの心構えと敦賀市のサポートも大事だ。
スポンサーサイト
【2016/03/23】 | ページトップ↑
| ひとことトップ |