福井市出身の本屋大賞
Date:2016-04-13(Wed)

敦賀のソメイヨシノもそろそろ終わる。何気ないソメイヨシノだが、地域の歴史とも関係が深いとも感じる。岡山県玉野市の造船実習で訪れたおり、工場にはソメイヨシノはつきものと教わった。環境対策には早く花をつけるソメイヨシノはうってつけだ。

材料試験の立合で訪れた茨城県日立市。ここも昔、鉱山のまちとして栄えた日立市の桜は、煙害に強い大島桜を植樹したのが原点であるとも。煙害と向き合った先人たちの労苦があって、まちの象徴の今があるとも。日立の工場も見事なソメイヨシノがあった。

敦賀市内の各工場のソメイヨシノも見事だ。その今年の花見シーズンもそろそろ終わる。花吹雪、花の塵(ちり)、花筏(いかだ)…。桜は散るからこそ美しいともいう。

今年こそ散らなかった大賞がある。昨日、東京・明治記念館で、全国の書店員が選ぶ「本屋大賞2016」の発表会が開催され、福井県福井市出身の作家・宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(文藝春秋刊)が大賞に輝いた。

私もあまり興味をもっていなかったが、受賞作品を読むと意外に引き込まれた。本屋大賞は、全国の書店員が年に1度、出版業界活性化のために「一番売りたい本」を投票で選出するもので、本屋が売りたい、PRだが、それだけに面白い。

受賞作は、第1回大賞受賞作の『博士の愛した数式』小川洋子さんの本も何気なく読むと引き込まれた。

今回の宮下さんの受賞作は、福井出身ともあり、それとなく東京駅で買って読むと、これも引き込まれた。ピアノの調律を通じて成長していく1人の青年が主人公の物語。平凡な日常を舞台に、登場人物の心理描写を丹念に描き、多くの読者の共感を呼び、第154回直木賞候補作にも選ばれてたもの。

 
物語の主人公は、北海道の山奥で生まれ育った青年、外村。17歳の時に、通っていた高校の体育館で調律師の板鳥の奏でる音に心を揺さぶられたのをきっかけに、調律の世界に魅せられ、その後、調律師として板鳥の楽器店で働き始めた外村は、職場の先輩や同僚、顧客となった双子の姉妹、和音と由仁など様々な人々に出会い、成長。北海道の雄大な自然を舞台に、主人公の成長と周囲の人々の心情を丁寧な筆致で描写する作品。あまりなじみのない世界だっただけ引き込まれ、そのくせ重たくない、お薦めの本だ。
 
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