もんじゅ廃炉後のビジョン(拠点化と地域振興)
Date :2017-05-23(Tue)

もんじゅの廃炉を巡り、松野文部科学相が20日、福井県庁を訪れ、政府一体となった廃炉の実施体制案や今後の地域振興策の方向性を、知事と市長に説明。

知事と市長は廃炉体制についておおむね了承し、昨年12月の政府決定から約5カ月を経て廃炉手続きが進む。どうして、ここまで時間がかかったのだろうか。第一は「もんじゅの廃炉ありき」で物事が進んだことにある。


廃炉その後の高速炉開発、地域振興は一体だが、双方に明確なビジョンがないまま、手打ちなったように思う。政治の世界ではよくある話だが市民には理解しにくい。もんじゅ廃炉の影響は雇用や経済など30年かけたボディブローとなるだけに、国との交渉はビジョンがなによりも重要だ。

松野文科相は、もんじゅが立地する敦賀を今後の原子力研究や人材育成を支える拠点として整備する方針を示し、もんじゅ敷地内に新設する試験研究炉を中核的施設に位置付けるとした。しかし、研究炉はもんじゅとは比較にならないほど小規模だ。研究炉と国のエネルギー政策、まして高速炉開発とは違い、ただ、これも研究炉ありきの目先優先的な危うさを感じる。

試験研究炉は大学の研究者や企業技術者に研究ツールとして活用いただくものとし、5年後に詳細設計を進めるスケジュールを提示した。これも責任主体がどこか、なにが目的か、教育か研究か、ビジョンがないまま研究炉ありきで進んでいるように思う。

また、知事は、福井新聞によると「例えば大学誘致やLNGインフラ整備、地域振興の交付金」と踏み込んだ。ただ、大学誘致の具体策に欠け、LNGインフラについても用地、需要やロシアとの課題も多い。それだけに交渉にも具体的ビジョンが必要だ。

また、市長は周辺5市町との広域経済圏を目指す市のハーモニアスポリス構想について「具体的な振興策を十分協議していただきたい」と話した。これも時間軸の長さと水素社会形成もまだまだ課題だけに具体的ビジョンもってあたらないと、お茶を濁らされて終わるではすまない。

いずれにしても、原子力を中心に半世紀、歩んだ敦賀市だけに、本流を大事にしながら複合軸化にむけて自らのビジョンをもった交渉は欠かせない。


ところで、今年の流行語大賞で「忖度[そんたく]」がほぼこれで決まりではないか。辞書には「他人の心を推し量る」という意味しかない。推し量った上で何かを配慮するという意味では「斟酌」の方がふさわしい思う。

結論として、県と市、それに国ともんじゅ廃炉をめぐって、将来ビジョンの核がないだけそれぞれの担当者もまさに忖度「そんたく」の世界で動いているのではないか。それだけに、いま、大事な正念場になっている。

 
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