もんじゅ廃炉に伴う地域振興と将来ビジョン
Date :2017-08-20(Sun)

高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉に伴う地域振興策を巡り、県は三日、政府側が示している試験研究炉の整備などに加え、北陸新幹線の早期全線開業や敦賀市と滋賀県高島市を結ぶバイパス整備など10項目以上の要望を国に伝えた。

あまりにもハード面が多すぎる。例えば、舞鶴若狭自動車道の四車線化、北陸新幹線敦賀-新大阪間の開業を30年度末の北海道新幹線札幌開業より前倒。JR小浜線の高速化と安全対策などだ。

また、原子力の研究・人材育成拠点として、教育用と産業用の研究炉を設けて大学などのサテライトキャンパスを誘致することや、若狭湾エネルギー研究センターが共同研究を進める理化学研究所との連携強化に向けて新たな加速器の整備も求めている。

さらに、敦賀港を液化天然ガス(LNG)基地にするためのパイプラインや、敦賀市が進めるハーモニアスポリス構想への支援として水素エネルギーの研究機関や滋賀県境などのバイパス整備、嶺南地域への自衛隊配備なども盛り込んだ。
 
ハード面とソフト面、さらには実現性にも課題が多すぎる。もんじゅ廃炉に伴う地域振興は交渉事とはいえ、もんじゅ廃炉に伴う雇用や機構の今後など、廃炉作業にだけ目が行き、廃炉が終わった後、何が残るか。そこは「兵が夢の跡」の如く30年後には更地になり、人口減少と高齢化に加え、雇用の確保とはほど遠い要望に感じる。原子力研究の西の拠点を目刺しなら、研究機構が敦賀を去ってしまっては雇用の確保にもならない。

いずれにしても敦賀市の将来ビジョンをしっかりと展望した、知事にも市長にもしたたかさがほしい。知事で言えば、小池百合子都知事はやはりしたたかだ。

豊洲問題や五輪施設の問題も批判はあるが国とは距離をおきながら問題解決にむけて求心力を高めている。7月の全国知事会で参院選の合区問題が取り上げられた際、合区解消の必要性を訴え、「1票の格差」の是正を求めて合区に賛成する大阪と対照的なポーズを取り、地方に理解がある政治姿勢を印象づけた。

知事会では肝いりの東京五輪のPRにも余念がなかった。都外会場の経費に協賛宝くじの収益を充てられるよう求めたほか、他の知事に呼び掛け、健康増進を目的に大会期間中行うラジオ体操を会場内で一緒に披露するなど隙がない。

開幕まで3年。都内は確実に五輪に向かっているように感じるから不思議だ。各所にポスターが張られ、駅の改修工事も進むなどムードが高まる。そしてオリンピック後のレガシィにも目を向けている。

人口減と高齢化が進む地方に五輪の果実を着実に落とすため、官民で知恵を出し合いながら小池知事に勝るしたたかな戦略をとも思うが、一方で高速増殖炉もんじゅ廃炉の国策に翻弄された地域だけに、最後の要求でもあるだけにあまりにもハード面ばかりの項目が目立ち、したたかさと将来ビジョンに欠ける。
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