もんじゅ廃炉と新増設
Date :2017-08-25(Fri)


久しぶりの朗報だ。東洋紡は、化学品専門商社の長瀬産業と共同で東洋紡敦賀事業所(東洋町)敷地内に新工場を建設する。12月に着工し、来年10月稼働予定。電子ペーパーディスプレーやセンサーの電子回路基板材向けの高耐熱フィルムを生産する。

2022年度に100億円の売り上げを目指しており、さらなる工場建設も検討するとか。今年になって東洋紡の最先端のフィルム工場見学させてもらったが、製造業の日本ここにありといった、すばらしいものだ。従業員数は約40人で、このうち約30人を地元で雇用する計画とか。30人の雇用が生まれれば、家族が増え、税収増にもつながる。今後の増設にも期待したい。原子力発電の廃炉、長期停止、さらにはもんじゅ廃炉で人口減少が進む敦賀市にとって久しぶりの光明だ。

ところで、製造業や国民生活をささえる国のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画の改定に向けた議論が、今月から始まった。原子力政策の行方に注目が集まるが、経済産業省は再稼働が進展しない現状を踏まえながらも、計画の大幅な見直しには慎重な姿勢だ。しかし、エネルギーを取り巻く情勢は大きく変化している。抜本的な議論を避けて、小手先の見直しに終わらせてはならない。新増設を待つ敦賀市にとって、原子力政策に翻弄され続けている。

2014年に閣議決定した現在の基本計画は矛盾に満ちた内容と言わざるを得ない。福島の事故を受け、「原子力発電の依存度の可能な限りの低減」を「エネルギー政策を再構築するための出発点」だとする一方、原子力は「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けた。ここまでは妥当な計画と思うが、現実がついていっていない。

これに基づき、経産省は15年に「30年度の電源構成比率」を策定。原子力比率は20~22%程度、再生可能エネルギーは22~24%程度が望ましいとした。

原子力の比率は、東電福島第2を含め既存の原子力発電所のほとんどを再稼働させ、多くの原子力発電を60年にまで延長しても難しい数字だ。

再稼働を巡っては立地自治体の首長が慎重だったり、各地で差し止めを求める訴訟が係争中だったりして先行きは不透明だ。世耕弘成経産相は「骨格は変えず、電源構成目標をどう達成するかを議論する」と述べるなど、より安全性を高めた新増設先送りにはを初めから問題を先送りし、文言いじりで終わらせようとの姿勢が見える。

安倍政権の求心力が低下する中、今世紀後半に脱化石燃料を実現することを長期目標に掲げたパリ協定が発効。日本は50年までに温室効果ガスを80%削減すると国際公約している。しかし大部分の原子力発電が停止し、二酸化炭素(CO2)を大量に排出する火力に頼る状況では、公約履行は容易でない。

先送りには国際公約にも反する。世論を意識するあまり、エネルギー政策がしっかり議論されない中での一方的なもんじゅの廃炉決定、そして、今回、また新増設見送りでは、国のエネルギー政策に協力してきた敦賀市にとって、あまりにも無責任と言わざるを得ない。

 

 

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