エネルギー基本計画の曖昧さ
Date:2018-05-09(Wed)

昨日は議会の代表者会議、議会報告会の議員全員による打ち合わせ、昼からは国体に関する総会と続いた。一つ一つにはコメントしないが、今年の最大のイベントは国体の開催だ。150日を切った開催、水泳競技を皮切りに各団体、宿泊などサポートとそろそろ火がつき始めている。

今日は、今夏の閣議決定を目指している新しいエネルギー基本計画の骨子案を有識者会議に示したことにコメントしたい。なかでも、敦賀市議会で意見書を提出した原子力発電所の新増設など今後の在り方については明示しなかったことだ。エネルギー政策の将来図を描けておらず、次期計画は課題を先送りとなった。少し長くなるが勘弁願いたい。

基本計画は、日本の中長期的なエネルギー政策の指針で、おおむね3年ごとに改定されている。これまでの基本計画は2030年に向けた指針だったが、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で、日本は50年に温室効果ガスを8割削減するとの国際公約を示しているため、対象とする期間を50年までに拡大した。

現行の計画では、30年度の各電源の発電比率は、原子力発電20~22%程度、再生可能エネルギー22~24%程度、火力56%程度としている。素案ではこの方針に変更はなく、技術革新の行方を予測するのは困難として50年の数値目標を示さなかった。

経産省は、太陽光や風力といった再生エネは世界的な価格低下やデジタル技術の進展を考慮して、主力化を目指すべき電源としている。余った電気を蓄電池にためたり、水素に変換してエネルギー源として使用したりすることで、天候などに左右されない自立した電源に成長させる方針だ。この課題は敦賀市での水素社会形成と合致するが、原子力発電所の新増設など具体的な将来像が描かれていない点は敦賀市にとって厳しい素案だ。

素案では、エネルギー転換へ技術開発を急ぎ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を大幅に減らす「脱炭素化」を推進するとしているが、再生可能エネルギーでは相当に無理があり、不可能と言っても過言ではない。

再生エネルギー関連技術の日本企業の世界シェア(売上高ベース)は、15年時点で太陽光パネルが6・9%、風力発電システムが0・3%と低迷。しかし、水素の化学反応で発電する燃料電池は66%、地熱発電システムは54%、蓄電池は29%となっていて、日本が脱炭素化に向けた技術開発をけん引することも可能だが、いまひとつ未知数な分野だ。

素案では信頼回復へ原子力政策の「再構築」を打ち出したものの、敦賀市など立地自治体が要望している新設や増設の再開か方針を明示していない。依存度を可能な限り低減するとした上で、当面は重要なベースロード電源と位置付け従来計画を踏襲。曖昧な状況が今後も続くことになる。

エネルギー政策が重要なのは、安全保障や温暖化問題と密接に関わるからだ。現状では、温室効果ガスの8割削減という国際公約の実現は厳しい状況にある。脱炭素社会実現に向けて原子力発電の再構築など思い切った施策を導入しなければ、日本は国際社会での影響力を失いかねない。その曖昧さが原子力からの人材の流出だ。
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