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20周年を迎える若狭湾エネルギー研究センターの苦悩と将来
Date-2018-07-23(Mon)


若狭湾エネルギー研究センター(以後、若狭エネ研)が今年11月で20周年を迎える。

若狭エネ研の初代理事長の故垣花秀武(元東京工業大学名誉教授)さん。私にとっても大恩人でもある。旧民社党の顧問的な存在で、私の東京時代、ある仕事を通じてこと細かく指導していただいた先生でもある。

病気で倒れて以来、敦賀に顔をみせることはなかったが、日本ではじめての国際原子力機関(IAEA)の事務局次長であり、日中原子力協定の影の功労者でもある。事務局次長になったものの、政府の原子力政策を痛烈に批判したため、日本の原子力委員会の委員、そして委員長と歩むべき人物でもあったが、その職を逃してしまった、気骨の人でもあった。

注目すべき報告書で、60年代から70年代当時、内閣で秘密裏に進められた「日本の核政策に関する基礎的研究」がある。その研究の第一に名を連ねている。核兵器の作り方から戦略・外交的側面の分析に至るまでの力作。原子力が模索発展段階にあった当時、その後の日本の原子力政策、安全保障政策の根幹となったもの。その当時、政策と技術が理解できる原子力の第一人者であった。

若狭エネ研の1998年開所までの数年間、準備事務所がプラザ萬象にあった。このとき、垣花先生から若狭エネ研究にかける想いを何度か聞かせていただいた。若狭エネ研は、経済産業省資源エネルギー庁および文部科学省が所管する財団法人だ。財団は、福井県から施設管理を委託されている。

エネ研の入口こそ子供向けの科学情報コーナーがあるが、中身は濃い。交流棟、研修棟、一般研究棟、放射線研究棟があり、中でも放射線研究棟には多目的シンクロトロン・タンデム加速器やタンデム型加速器が設置されている。 また、このホール、研修室、会議室等を借りることができ、また、電子顕微鏡等の科学機器を低料金で利用できる。

エネ研の財団は、中期事業計画で、「研究開発」と「産業・技術・研究支援」の2本柱をあげている。「研究開発」においては実用化・応用研究を重視し、事業の選択と集中を図っていくこと、また、「産業・技術・研究支援」においては、福井県が策定したエネルギー研究開発拠点化計画を推進することにより、既存産業の育成と新産業の創出等を促進していくとある。

結論から申し上げると、若狭エネ研究の方向性が見えなくなっている。敦賀で「もんじゅ」廃炉となり、エネルギー研究開発拠点化計画が見直しが必至だ。

拠点化の組織は若狭エネ研にあるものの、私には、別物としかとれない。私は、ハコモノ行政でいくら施設を造っても時間と金、研究テーマが定まらない施設を造っても、どうにもならないことは確かだ。それも、鳴り物入りで建設し、陽子線がん治療などに成果をあげてきた若狭エネ研をどう考えているのだろうか。

アトムポリス構想の研究施設が、若狭エネ研だ。ところが、今日の若狭エネ研は、垣花理事長以来、推進エンジンであるべき理事長は、石井佳治出納長、旭副知事、石塚副知事が就任。いまは、副知事の定席にもなっているように思うが私に言わせれば、優れた人材も呼べないことにほかならない。もっというと、人材のいないことを内外にさらけ出したことになる。

陽子線がん治療を県立病院に設置し、その中核を奪った。その後の、若狭エネ研をどう評価すればいいのだろう。

理事長が垣花さんから石井出納長に変わるとき、記者会見で「地域密着」型への転換と報道されたが、その後の実績はどうだろうか。未だに発展途上の研究施設。大きく方向転換してしまった。若狭エネ研は、いまだ、「人、モノ、金」と十分ではなく、道半ばである。しかし、確実に加速器などの老朽化は進んでいる。

目標は大きく、その活用がこれからというのに、理想とはほど遠く、地域密着なら密着しているか、はなはだ疑問だ。私が見る限り、従来の延長線上で、資金的にも電源三法交付金で支えられ、人材もいるものの、原子力機構、北電、関電、原電が出向で補うなど、自立しているとは言い難い。陽子線治療の最先端技術から地場産業まで、今後、何をテーマにするのか、地元では語れる人は少ない。研究の速度、スピードは、確かに速くなっているが、基礎研究も含め、設立から20年、エネルギー拠点化計画の中核であるべきもんじゅが廃炉となり、若狭エネ研をどう再構築するのか、福井県の息長い、腰の据わった対応を求めたい。

エネルギー拠点化は、確かに人材と研究テーマがそろい、さらに研究資金が集まって、はじめてエネルギー拠点化計画がある。アトムポリス提唱以来40年、これまで取り組んだ若狭エネ研の現状を考えれば、その難しさが理解できるであろう。理研の移転も再構築のひとつだが、焦る必要はない、焦ってもできないものも多い、着実に現状を理解しながら進むのが妥当ではないか。
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