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政治の責任でもある農業政策
Date:2009-07-15(Wed)

最近の選挙は世論選挙を痛切に感じる。新聞論調は、数か月前は小沢批判を繰り返したが、ここ数日は自民党批判が続いている。古賀選対委員長の進退問題も深刻だ。投票日までの45日は意外に長い。政治は何が起こるかわからない。マニフェストに期待したいがいまだに完成していない。不思議な国だ。世論政治は、耳触りのいい言葉ばかり並び、財源論など大事な問題が抜け落ちることも多い。地方分権も財源も含め、二の次では困る。

最近の選挙で、都議選の影に隠れて、象徴的なのが、33歳の奈良市長の誕生。民主党推薦、経験も実績もない。無名に近い新人だ。出馬表明からわずかな時間で奈良市民の心をつかんだ。敗れた候補は、議員や元市長の肩書を持ち、自民・公明推薦だ。従来なら必ずと言っていいほど当選した候補だ。まさに地殻変動が地方、都会で起こっているのも事実だ。

行財政は行き詰まり、自民・公明の政権への不満。それを打開するには新しい力に託す。都議選の選挙区ひとつ一つをみても、共通点がある。若い、新人、学歴、民主党、それに自民党の古賀氏でないが、古臭いのはいやだ。経験は二の次。そのような意識が選挙結果に反映した。ところが、若い首長や未経験者は、数年で行き詰まることも多い。

一方で、橋本・大阪府知事のように、府職員のやる気を起こさせ、前例踏襲で続いているすべての事業をゼロベースで職員の協力を得て見直しを行い、府民の支持率も驚異的に高い。今のところ成功している。全国の地方行政の執行で、職員の協力を得て、評価しながら住民のために歩む先駆的な首長の実践も多い。これが、今、国も大事な視点ではないか。

中央の政治で機能していないのが、たくさんある。農業政策だ。狭い敦賀平野でもその影響をもろに受けている。長年の懸案になっているコメの生産調整(減反)についても、農林水産省の官僚から昔、講演を受けたことがある。先日も減反の必要性について世論調査を公表し、具体的な提案を大臣を通じて行ったが政治によって封印された。

生産者への質問の中で、減反政策において、生産者の過半数の51.8%が減反の緩和か廃止を求めている。これに対し、減反の維持・強化が必要とする意見も計45.9%あった。生産者の間では、考えがほぼ二分されている現状が浮き彫りになった。消費者への質問でも廃止と維持派が拮抗し、生産者と同じような傾向が示された。

減反政策は70年代から本格化し、今では水田の約4割で稲作ができない。敦賀市内の水田は減反政策を忠実に守ったものの、減反だけでなく、これまでの政策が農家の意欲を奪い、耕作放棄地の増加や担い手不足などにつながっている。市内の専業農家従事者の平均年齢は70歳を超え、後継者不足に悩む。減反をするしないだけに限らず、流通の問題など複雑に絡み合って、狭い敦賀平野の農家に暗い影を落とし続けることも確かだ。現行制度が限界にきているのは明らかだ。

打開策として、石破茂農相は減反選択制を打ち出した。減反をするしないの判断は各農家に委ね、経営の自由度を高める。生産量が増えて米価が下がった場合、減反に応じた生産者に限り助成するというものだ。真面目に減反を行う福井県や敦賀市にとっても現実的な政策と受け止めたい。全国的にも維持と廃止の中間をいく減反緩和策といえる。民主党の農家の所得保障政策にも通じる。私も現実的な政策と評価していた。

ところが、石破農相は選択制の導入方針を一時は明確化したものの、立ち消え状態に陥ったままだ。次期衆院選を前に、導入を決めると農村票が割れる可能性があるため、自民党農水族の反対で結論を先送りだ。政治の停滞・低迷が、地方の農業に影響を与えてきた根本要因とも言える。現状のままでは農業弱体化に歯止めはかかるまい。拍車をかけるだけだ。

農水省の官僚は、所詮は役人だという方も多いが、意外に将来を考え、それも現実をよく見ている。市内にも農水省の事務所があるが、真剣に将来を語る。簡単になくすべき事務所でもない。

今回の農水省の調査結果は、従来のしがらみを打破し、現実的な提案を石波農相は理解し提案した。しかし、自民党農水族は封印した。全国の地方行政の執行で、職員の協力を得て、評価しながら住民のために歩む橋本府知事など先駆的な首長の実践は、現場を知る職員と、やる気を引き出し、これまでのしがらみを打破している結果でもある。これが、今、国も大事な視点ではないか。そんな意味で地方も国も、大事なターニングポイントでもある。


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