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市民は貴重な医療資源を浪費するのではなく、温かく見守る姿勢も大事だということではないか。
Date:2008-02-01(Fri)

先日の日本マクドナルドの名ばかり管理職訴訟。社会を反映するだけに根が深い。さして権限のない店長を管理職扱いし、残業代を払わない。店長の職務、裁量、待遇をみれば管理職とは思えないと、東京地裁が判断した。この判決は意外に影響が大きい。なにしろ、同じような例が外食産業や量販店などに数多い。

市内のあるコンビニの店長とも話したが、店長といえ、労働時間は相当なもの。聞こえのいい言葉で実態が隠されるケースも多い。社会にそんな雰囲気がはびこっている。

嶺南の公立小浜病院の職員の方と先日、話をする機会を得たが、その実態は相当、厳しいようだ。全国で自治体病院の勤務時間の問題になるケースが多い。これが、医療問題とも通じている。
 
宿直を含む連続労働基準法違反の例もあるとか。24時間勤務ではなく、32時間勤務は当たり前といった医師の過酷な労働を強いる例もあると聞いた。自治体の本庁も問題を先送りするだけ。住民も、昼間は仕事があるからと、コンビニ感覚で夜間に受診し、夜勤の医師を疲弊させる。そんな悪循環が全国の自治体病院を崩壊させる原因になっていることも事実だ。
 
「ええにょうぼ」でかつて全国の注目の的であった舞鶴市民病院の医師全員の退職はいまでも市民生活に大きく影響している。意欲を失った医師が病院から立ち去り、地域医療は深刻な打撃を受ける。こんな構図が全国で進みつつある。

公立小浜病院や市立敦賀病院には、そこまでの状態ではないというものの、同じようない実情が、漏れ聞こえるのも注意しておかなければならない。
 
私は議会で、ここ数年、本庁から少しでも独立的な病院経営ができる「全部適用」を提唱してきた。昨年のあり方検討委員会でも同じような指摘を受けている。市立敦賀病院が全国の病院と同じとは言わないが、自治体病院のほとんどが役所の一部門として扱われ、「経営」が存在しにくくなる。権限を、現場ではなく本庁の人事や財政当局が握り、大げさにいえば、経営や医療の質よりも、形式や規則が重視される。極端な例だが、宮城県石巻市にあった公立深谷病院は抜本的な経営改革ができずに、金融機関から運転資金の融資を拒絶され、民間譲渡された。
 
ただ、医療費抑制の国策のもと、民間病院の生き残り競争は激しさを増す。だが、自治体病院は意思決定が遅く、時代に追いつけない。また、市立敦賀病院とは言わないが、全国的にも共通する現象は、医師不足による収入減が病院経営に打撃を与えている。国の研修制度変更が原因とされるが、一方で、医師不足に悩む病院ほど、医師たちの立場や気持ちを考えない住民や行政の行動が目立つのも事実のようだ。
 
私は、闇雲に「全部適用」の採用を言っているのではない。昨年末、総務省は「公立病院改革ガイドライン」を示し、収支の改善、医師の配置や病床数の見直しなど病院の再編・ネットワーク化、民営化など経営形態の見直しを迫っている。確かに改革は必要だ。しかし、単に収益の増加や病床利用率の向上を迫れば、医師のさらなる労働条件の悪化を招き、医師が立ち去った例もある。現場の声をしっかり聞く作業が、改革には不可欠だ。敦賀でも同じと思っている。
 
一方で、舞鶴市民病院は、典型的な例だが、舞鶴市民や議会が中心になり、再生への道を模索している動きも始まっている。一方、問題解決に取り組むことが、地域再生の契機となる可能性も感じている。兵庫県丹波市では、母親らが結成した「県立柏原病院の小児科を守る会」が、子どもの病気について学び、本当に必要な時以外は休日や夜間の受診を慎もうという運動を展開中だ。その結果、深夜の小児科の患者数は大幅に減り、医師の負担は軽減されているという。
 
市立敦賀病院のあり方検討員会は、市民の風評と治療を受けている市民の受け止め方の違いを明らかにしている。市民が市立敦賀病院に期待をし頼っていることが、市民アンケートでも出ている。

行政や市民が、市立敦賀病院を信頼し、温かく見守る姿勢も大事だろう。一方で、病院は目に見える形で改革をし、病院経営の質を上げ、医師、看護師、検査技師、職員の労働条件改善も重要だ。繰り返しになるが、市民は貴重な医療資源を浪費するのではなく、温かく見守る姿勢も大事だということではないか。その姿勢が、地域医療の悪循環を断ち切る大事な視点と思う。 
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