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国定公園編入やラムサール条約登録へ動き出した「中池見湿地」
Date:2009-10-07(Wed)

敦賀市内で発生した事件で敦賀市の人を裁く、北陸3県初の裁判員裁判が昨日、福井地裁で開かれた。福井市、県都で開かれると、当たり前といえば当たり前だが、不思議と遠いこととなる。しかし、これも重要な出来事だ。

県都で行われる福井県議会でも、重要なことが決まっている。ひとつが、敦賀港鞠山南地区多目的国際ターミナル管理運営会社への出資として3060万円が決まった。敦賀市議会の決定と合せて、敦賀港にとって重要なひとつの大きな出来事だ。もうひとつは、中池見湿地のラムサール条約湿地登録を目指す敦賀市を支援するため、自然環境調査費に400万円が通った。

これも若狭町の三方五胡に先を越されたがようやく、敦賀市の中池見湿地のラムサール条約登録に向け、さらに、福井県が登録の選定条件となる国定公園編入に必要な自然環境調査に乗り出す。これも画期的なことだ。

福井新聞に大きくのったが、2012年にルーマニアで開かれる第11回同条約締約国会議での登録入りを目指すというもの。大阪ガスの撤退で、敦賀港の今後の運営が大きな課題だった。そして、中池見もタンク基地から自然保全に大きく舵を切った。その大きな転機を福井県と議会が、新たな方向の中で、動き出したともいえる。

中池見湿地は、ご存知ように、数十メートルにも及ぶ泥炭層であり、国内屈指のトンボの生息地である。まずは自然公園法の管轄下にある越前加賀海岸国定公園への編入を目指すこととなる。これまでどちらかと言えば、福井県は冷たかった。糀谷県議の一般質問が契機というか、そのころから、風向きが変わり始めた。

今回の補正予算、約400万円は県予算にしては少ないが、国定公園やラムサール条約登録ともなれば、敦賀市だけの自然ではなく、国の財産でもあり、国際的にも重要な湿地となる。それでもまだまだ課題も多く、ハードルも高いが、市民の関心を盛り上げることが重要だ。県として、来年度からは必要書類を作成し、県の環境審議会などに諮り内容を詰めることとなる。国定公園編入は、2011年冬に開催予定の国の環境審議会での正式決定を目指すことになる。

ところで、冒頭の裁判ではないが、広島地裁が、福山市・鞆(とも)の浦の景観訴訟で、広島知事の埋め立て免許差し止めを命じる判決を下した、背景には地道な運動もさることながら、大きな後押しがあってできたこと。海辺の小さな町を舞台に展開された宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」だ。

昨秋、平和堂でも公開された。このアニメの構想を、宮崎監督は瀬戸内海の景勝地、広島県福山市の鞆の浦で練り、港を見下ろす丘の上の民家を2カ月間、借り切って滞在。奈良時代から寄港地として栄えた歴史的な町を、毎日散歩したという。湾が円弧を描く美しい鞆の浦のイラストが「ポニョ」のパンフレットに載っている。

ここまで書きすすめたのも、「円弧を描く美しい・・・」とは、敦賀湾と気比の松原にも通じる風景だ。距離的には、気比の松原が長く、円弧も大きいが、この風景は敦賀市民もどこかで観た風景となることは確かだ。私も一度訪れ、敦賀との類似点を感じていた。広島地裁は「文化的、歴史的景観は守るべき国民の財産」として待ったをかけた画期的な判断というが、背景には、市民の運動や映画の後押しがなかったら、今日はなかったことは確かだろう。

逆に考えれば、もし、鞆の浦が埋め立てられ、橋が架かっていれば、宮崎監督の「ポニョ」も生まれなかっただろう。景観が壊されることへの痛みの感覚が、人にやさしい町や文化をつくっていくことにも通じる。

自然や美しい景観は一度壊されると元には戻らない。国定公園編入やラムサール条約登録へ、自然保全へ実質的に福井県が動き出したことは、大きな転機でもある。書類などの条件整備も大事だが、今後、中池見全体の保全管理の主体になって行っている「NPO中池見ねっと」が中心となる。何よりも大事なのは、敦賀市民の関心と盛り上がりだ。
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