FC2ブログ
「老人と海」的な生きざま
Date:2010-07-21(Wed)

久々の東京。昼も夜も暑い。ヒートアイランド現象か、クーラーからの熱風とアスファルトから照り返しは格別だ。今年は梅雨から真夏日へと極端だ。東京に来て、あることに気がついた。この時期、天気予報ならぬ「でんき予報」と言うのが昨年まであった。

夏場はエアコンの使用などで電力消費量が増える季節。東京電力では、毎年この時期「でんき予報」を発表していた。「でんき予報」とは、その日の電力の需給状況(予想される最大電力と「東京電力」の供給力)をHPで公開し、節電や省エネを呼びかけていたもの。今年は柏崎刈羽の原子力発電所の復帰で予備力が増したのか。

データを調べると、今年の夏の電力10 社の最大電力は、1 億7,463 万kW 程度とか。一方、対する供給力については、1 億9,975 万kW 程度を計画しており、予備力は、約2,500 万kW、14%程度を確保できる。14%は確かに余裕がある。二十数年前は、バブルが崩壊したとはいえ、冷房需要について行けず、毎年10%の予備力確保に懸命だった。

ただ、30℃を超えるような日中に気温が1℃上昇しただけで、全国の最大電力は原子力5 基分に匹敵する約500 万kW も増加する。細長い日本列島、電力供給は、かつては至難の技であった。停電を防ぎ、安全に供給できるか、各電力会社の給電マンの腕の見せ所でもある。

電力事業には、それぞれに熟練が要求された分野が多かった。たとえば、「送電屋」という分野が幅をきかした時代があった。送電線を守る仕事は、冬の雪、夏の台風にいかに守るか、高所作業で極限の作業場、日頃の維持管理があって、電気が供給できる。男の中の男の職場でもあった。トラブルや教訓をもとに、送電線の技術が確立し、職人的な作業が少なくなった。

昨夜、ヘミングウェイの「老人と海」を音なしで写し続ける神田のバーに仲間と入った。釣りが趣味というオーナーのこだわりだ。ヘミングウェイといえば、「日はまた昇る」では多くの友人に囲まれながら最後は一人になり、「誰がために鐘はなる」では恋人を失い、「エデンの園」では恋人を得て奥さんを失う。

ところが、「老人と海」では、失われたものは、もちろん巨大カジキだが、老人は漁師としての名声をすでに失っているところから話は始まる。老人は、漁師であること、名声を失っても、巨大な魚と格闘する姿は、まさに男の生き様でもある。

いま、男の職場という考え方が少なくなり、「老人と海」的な生き様が語られなくなった時代でもある。世界一少ない停電、電気はあって当たり前の時代、その技術には、熟練した男たちの教訓がいっぱい詰まっている。40年を超える敦賀の原子力発電にも同じことが言える。
スポンサーサイト



【2010/07/21】 | ページトップ↑
| ひとことトップ |